人が嫌いなんじゃない。私は、誰かのためになりたかったんだ。
すごい すごい すごいすごいすごい
すごい本を読みました…。
読み終えた今とても、自分の中に溜まっていた黒い汚い影が、きれいに浄化されたような気分です。
そしてこれからの人生が楽しみになってきた。
春明力さん著『話すことが怖い。でも一人にはなりたくないんだ。』
話すことが苦手、人間関係が苦手だと思い込んでいる人のみならず、
仕事で思うようにいかなくて悩んでいる人や、
大切な人にきちんと思いを伝えられずに歯がゆい思いをしている人にも
読んでほしい一冊です。
この本は、主人公であるweb制作会社の営業マン・達也の地道な成長物語です。
テレアポや飛び込み営業の仕事から人間関係にトラウマを持ってしまった達也は、入社8年目ながら営業成績はいつも部内でほぼワースト。
仕事がうまくいかず自分で自分を諦めるようになっていた達也でしたが、親友や会社の先輩との関わりから、少しずつヒントを見つけ成長していきます。
でも簡単にうまくいったわけではありませんでした。
なんどもなんども失敗して、成功が見えたはずなのにまたドン底に落ちて。
そんな達也の姿がとてもリアルで、気がつけばほろっと涙がこぼれるシーンもたくさんありました。
話すことが苦手、人が怖い、私はコミュ障…とここ数年ずっと殻に閉じこもっていた私。
でも、ほんとはそうじゃないのかもしれない。
達也のように、思い込んでいただけなのかもしれない。
この本を読んで思ったこと・気づいたことがあまりにたくさんありすぎて、うまくまとめられる自信がありませんが…
勢いのうちに今の気持ちを書きとどめておきたいと思います。
私が事務職にやりがいを感じられなかった理由
私は人に認められたかったんだ。
ありがとうと言われたかったんだ。
人のために、なりたかったんだ。
私は社会人になってからの3年半、経理や総務、貿易事務などの事務仕事に携わってきました。
希望していたわけではなかったのですが。
それでもなぜ事務の仕事に就いていたかといえば、ただ新卒で入った会社でそういう部署に配属されたからでした。
1社目で3年間、事務の仕事をしました。
そして今年の春に、2社目へ転職。
同じ事務職を選んだ理由は単純でした。
中途採用では即戦力を求められるんだよね。
↓
私の経験は事務しかない。
↓
じゃあ事務でいいや。
経験があったほうが受かりやすそうだし、他にやりたいこともないし。
でも3年半続けておきながら結局、やりがいを見つけられず手放すことを決めました。
……いや、厳密に言えば、正直1社目ではやりがいは感じていたんです。
でも2社目ではまったくだめでした。
上司のために頑張れた会社
新卒から3年間勤めた1社目。
待遇や会社規則の面ではブラックだったのですが、人間関係はとてもあったかい会社でした。
部署の上司たちは私のことをとてもかわいがってくれて、仕事がデキる自覚なんてまったくなかったのですが、すごいすごいと褒められて。
そんな上司たちとは退職後も連絡を取り合っていて、それでいつ戻ってくるの?なんて言われたり。
私がやめたことで人手不足にしていまい申し訳ないと思っているし、体が2つあれば1つはそっちへ行かせたいくらいです。
ようするに、1社目では「この人たちのためになりたい」と思って仕事をすることができていました。
それから、新卒採用の仕事もやりがいのひとつでした。
合同説明会や選考会で学生さんと関わる機会が多くあり、就活の悩みを聞いてあげたり、アドバイスをしたり。
会社の顔として説明会の司会なんかもして目立つポジションにいたこともあり、「ナナ・シーさんに憧れてこの会社に入りたいと思いました!」なんてキラキラした瞳で言われたときには、ついニヤけてしまうくらい嬉しかったことを覚えています。
そんな言葉をもらったり、説明会のアンケートを読んだり。
学生さんからのレスポンスが嬉しかったんです。
とはいえ楽しいことだけではなく、有給を取ると給料を引かれる(???)ブラックな待遇に嫌気が差したり、女性の先輩からのイジメに遭ったりしたことで、結局は退職することを選びました。
誰のためにもなれなかった会社
1社目では感じられたやりがいが、2社目ではどうして感じられなかったのか。
その理由は、誰かのためになれなかった。
そしてなりたいとも思えなかったから。
無事すぐに転職先が決まり入社したのですが、もともとコミュ障と自覚していて人見知りな私は、新しい環境に入ることにひどく怯えていました。
そして、即戦力を求められるというプレッシャーにも。
当時の私はたとえるなら、肉食動物に囲まれてぶるぶる震えた子ヤギです。
だからとにかく疑心暗鬼が強かったんです。
平均年齢40後半〜50代の環境ではあの人もこの人も、私のようなゆとりのことを裏で悪く言ってるんじゃないか。
派遣の女性たちは「なんであんな子のほうが給料高いわけ」なんて言ってるんじゃないか。
実際に、同期4人中でも私が一番すぐやめそうって噂されてるって話を聞いたりもしました。
(ちなみに結果は3番目にやめることとなりました)
ベテラン社員たちが20年30年かけて築いてきた暗黙の文化には馴染める気もせず、なによりなるべく人と関わりたくないので馴染みたいとも思えませんでした。
頭の回転が遅い私は、じっくり考えてひとつひとつこなしていかないと仕事ができないタイプ。
だからベテランたちのスピードについていけるはずもなく、いつも目が回ってパニックになっていました。
そんなんだからミスを連発し怒られて、一方で要領の良い同期だけがかわいがられる。
私なんてここにいらない人間じゃん。
誰のためにもなれない。むしろ迷惑ばかりかけている。
仕事ができたとしても、褒められることもありませんでした。
ベテランたちにとってそれはできてあたりまえのことだから。
さらには裏方の仕事柄、お客さんの顔も知らない。感謝されることもない。
いったい私の仕事は誰のためになっているんだろう。
私がこのフルーツを輸入したからって、一体誰が喜ぶんだろう。
得意先の会社からすれば、ほしい商品を仕入れられて「嬉しい」じゃなく、「当たり前」なんです。
少しでも納期が遅れると「なんでそうなるんだ!!」というクレームの嵐。
大手の得意先はあれをああしろこれをこうしろと指図ばかりだし、価値を提供しているというより、なんか奴隷みたいだなぁ。
社会的にみれば、私の仕事は裏方の裏方の裏方の裏方の裏方の裏方の裏方くらいの位置。
もうなんのためにやっているのか、わからなくなってしまいました。
そして自分の存在価値も、わからなくなってしまいました。
人が怖い、人が嫌い
浅い友達なんていらない
私が人間関係に苦手意識を持ち始めたのは、高校生の頃でした。
別にイジメにあったわけでもないのですが、部活に集中しすぎて、気がつけばクラスにはほとんど友達がいませんでした。
クラスに一人だけいた部活の友達が休めばどうやってお弁当を食べたらいいのかもわからないし、いまさら他のグループに入るわけにもいかないし。
中学時代まではずっと中心グループにいた私にとっては、結構ショックなことだったんです。
私なんて…と卑屈になっていったのは、その頃が始まりでした。
そんなふうに高校時代を過ごしたので、大学でも友達を作ることが億劫でした。
親友も別の大学に行ってしまった。いっそ一人が楽。
学生番号が近くたまたま友達になった子は、私と正反対に広く浅く交友関係を持つ人でした。
一人じゃ行動できないタイプの子で、「一緒の講義受けよう!」「一緒に座ろう!」「一緒にお昼食べよう!」といつもいつもLINEが来る。
おしゃべり好きなその子の話題は、いつもその子の友達の話。
私、その人のこと顔も知らないんだけど…。
私なんかと友達になってくれるなんてありがたいと思えという感じなのですが、正直うっとうしくて、一人にしてくれ、と思っていました。
消費者=クレーマー
大学も3年生になり、転職活動で探していたのはBtoBの会社でした。
なぜなら、消費者=クレーマーというイメージが強かったからです。
なんで急にそこに直結するの?!と思われるでしょうが、ほんとそうですよね。(笑)
当時は職種のことなんてよくわからずポワンポワンしていたので、説明会でよく出てくるエイギョウという仕事を私もやるんだろうな〜と思っていました。
そしてもし自分が直接お客さんと関わるなら、ギャーギャーワーワー文句をつけてくる(イメージの)消費者よりも会社対会社のほうが、会社という盾があるような気がしてあんまり怖くなさそうだなと思ったんです。
今思えば実際そんなことはなく、どちらにしたって同じことなんですけどね。
人が怖い
私は人が怖いです。
雑談が苦手です。気まずいのは耐えられない、でも焦って話題が見つからない。
だから話せない。そして一緒にいてもつまんない奴だと思われる。
休日には完全に気を許せるほんの少しの親友としか、会いたくありません。
それ以外の友達から「ご飯いこー!」なんてLINEが来ようものなら、まず通知を見て吐きそうになり、しばらくは気づかないフリをしてしまいます。
すれ違う人となるべく目を合わさないように、いつもスマホをいじるか下を向いて歩きます。
会社で愛想よく振る舞うのは、悪口を言われるのが怖いから。
接客業なんてありえない。
できればずっと一人で、どうぶつの森をやっていたい。
消費者=クレーマーという紐付けをしてしまっていたのは、
「人は私を攻撃してくる、怖い」
というイメージが、なによりも先行してしまっていたからでした。
あれ?私は、誰かのためになりたかったんじゃない?
転職先の会社で、仕事にやりがいを感じられなかった理由。
会社を辞めたいと思い始めたころは、ただただ「会社が嫌だ、辛い、苦しい」という感情ばかりが浮かんでいました。
でもこの本を読んだことで、その感情の理由が見えてきました。
それは自分が 不要な存在に思えて、誰にも貢献できていないと感じていたからでした。
お金と休みさえあれば幸せになれると思って選んだ会社だったのに、その両方を手に入れても、幸せになれなかった。
反対にいくらブラックな待遇を受けようと、前職の上司たちには感謝しているし、できることなら力になりたいと今でも思っている。
私、人が怖くて嫌いなはずだったのに。
心の中で求めていたのは、「人のためになる」ことだったんです。
かわいくて嬉しい
本を夢中になって読み終えたあと、溢れる気持ちを整理しようと思って、私はその日買ってきたばかりのペンを手に取りました。
握った新しいペンを見て、ふと思ったんです。
かわいい。
嬉しい。
こんなペンを作ってくれてありがとう。
誰かが作ったペンを買った私が、こんなに嬉しい気持ちになっている。
そうだ私、こんな仕事がしたい。
そのペンを買うときは、かわいいわんちゃんの絵に夢中で気がつかなかったのですが、ふと見るとその絵の下には英語の文字が書いてありました。
good life
と。
傷つかないように生きようとすると、傷つけるものを探してしまう
楽しむために生きようとすると、楽しいものを探す
誰かを幸せにしたい、それが叶えばきっと私も幸せになれるんだ。
もちろんお金や時間も大切だと思います。
でも幸せと思う"気持ち"は、手に入れるものじゃない。
自分の中で生まれるものなんだ。
あー!いい人生にしたいなー!!
いや、できそうな気がしてきた!!